ロシアでの「ひとり飯」〜そこで出会った粋なおじいちゃん〜
Netflix野武士のグルメお題「ひとり飯」
かつて私がロシアに行った時のこと。
「サッカーのユニフォーム、ここに売ってるかな。孫へのお土産に買おうと思うのだけれど」
と、百貨店で日本人のおじいちゃんに声を掛けられました。
「ユニフォームはよく分からないですが、上の階に服なら売っていますよ」と少し会話し、その時は分かれました。
夜になり、ホテルのレストランで。
「あっ、先ほどはどうも」
と、おじいちゃんの方から声を掛てきました。
どうやら同じホテルだったようです。
せっかくなので、「ひとり飯」同士、相席で食べることになりました。
「乾杯〜」
と言いながらビールを飲み、「ユニフォームは見つかりましたか?」などと話しながら、お互いの素性なども少しずつ話していきました。
どうやら、そのおじいちゃんはかなりの旅好きのようで、世界をいろいろと回っているみたいでした。
「すごくお元気なんですね」と言うと
「いえ、数年前に大病を患いまして、実は余命宣告も受けたんです」と答えが返ってきました。
「えー、そうなんですか、、、」と言いつつ、私はどう話をしていいやら迷っていました。
「それで、自営業をしていたんですが、仕事は全部辞めまして、どうせ残り少ない命ならということで、好きなことを始めたんです。そこからずっと行きたかった世界遺産巡りなどをしているんですよ。」
続けて
「でも、不思議なもんですよ。好きなことをしていたら、体調も良くなってきまして、2年前に病院に行ったら『病気が快復に向かっています。理由はよく分からないですが』と言われまして」
と、話が明るい方向へと進んできました。
私はこの話に聞き入ってしまいました。
「えっ、じゃあ今はもうお元気なんですか」と聞くと、「いちおう、定期的に病院には行きますが、元気です」とのこと。
いかに「自分の好きなことをして生きること」が大切かを私はその人から学びました。
人間の身体は不思議なもので、生き生きと気がみなぎっていれば、医学の常識すらも覆してしまうようなことが起きるのですね。
「では、私はそろそろ部屋に戻ります」と言ったおじいちゃん、ウェイターを呼ぶとカードで支払いを済ませていました。
「楽しい時間をありがとう」と言ってさり気なく私の分のお会計も払いながら。
その去っていく背中がとてもかっこよかったです。
これが私の思い出に残る、異国の地での「ひとり飯」です。
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