1億2700万人のうちの誰かのために

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『三軒茶屋星座館2』は面白さが加速するよ

以前『三軒茶屋星座館1』について書きました。

『三軒茶屋星座館1』〜ホッとする物語〜 - 1億2700万人のうちの誰かのために 

 

今回はその続きの作品の『三軒茶屋星座館2〜夏のキグナス〜』について書いていきます。

 

1.お馴染みのメンバーがまた増える

 

和真が経営している星座館にやってくる常連客にまた新たなキャラクターが登場します。

 

葵という女性はなんとアイドルであり、葵にまつわる厄介事を和真が解決したことで、若干和真に気がある様子です。

 

ところが、和真は和真で過去の恋人の事をまだ引きずっているようで、そこが今回の話のメインエピソードとなります。

 

また、前回は悪役として登場した保科が、まさかのちょっと可愛い感じの役どころになっています。

 

恐らく、もう敵対することはなさそうなので、今後も憎めないキャラクターとして登場するのでしょう。

 

2.ついに月子の母親が明らかに

 

和真はある時ふと月子が「お母さんのことは嫌い」と言うのを聞いてしまいます。

 

普段そういうことを言う子ではないだけにずっと心に引っかかり続けます。

 

そして、やがてそれが大きな事件のきっかけになるのです。

 

ここが今回のメインストーリーです。

 

連作短編ですが、一つの大きなストーリーとしてこの問題があり、やがて最後に納得の解決を迎えます。

 

ここらへんを後味良くまとめられるのがさすがだなと思いました。

 

小説を読んでわざわざ嫌な気分にはなりたくないですから、ハッピーエンドが良いですね。

 

3.星座のエピソードも健在

 

相変わらずの星座エピソードが面白いです。

 

ギリシャ神話の神々のキャラクターが本当によく分かります。

 

脚色があまりにも面白すぎるため作中で何度も「ホメロスが書いたのは本当にそんな話なのか」とツッコミが入るのですが、「だいたい大筋は同じ」らしいです。

 

私も気になってギリシャ神話を軽く調べてみたのですが、大筋は本当に同じでした。

 

どんな分野でも、まず「面白い!」と思えることが興味を持つきっかけになりますので、いかに面白く伝えるかが本当に大切だなと感じます。

 

主人公の和真ひいては、作者の柴崎さんはそれがこんなにも上手くできているので羨ましい限りです。

 

何かを語る時にどのように面白く伝えれば良いかまで学べます。

 

4.そしてやはり心温まる

 

最近この言葉をよく書いている気がします。

 

余程私の心が癒しを求めているのでしょうか。

 

心温まるストーリーは良いですよね。

 

いつか星のきれいな所でこの小説を読みたいです。

 

 

三軒茶屋星座館2 夏のキグナス (講談社文庫)

三軒茶屋星座館2 夏のキグナス (講談社文庫)