『騎士団長殺し』の面白さ 村上春樹ワールド再び
2017年2月23日に、村上春樹氏の新作『騎士団長殺し』がついに発売されました。
長編の新作は実に7年ぶりのようです。
私は学生時代に村上春樹氏の前作『1Q84』を読み書けましたが、途中で辞めてしまいました。
それは図書館で返す期限が来てしまったからなのですが笑
今作の『騎士団長殺し』はそういうことがないように購入し、少しずつ読み進め、やっと今日は読み終わりましたので、そのレビューを行います。
なお、このレビューを書くにあたり、他の人の意見が入らないように今作に関する全ての情報をシャットアウトしましたので、純粋な私の感想が書けていることを保証します。
この本の帯には「旋回する物語、変装する言葉」と書かれているのですが、1巻目のかなり後半になってやっと物語が旋回し出した感じがしました。
では、それまでは面白くはないのかというと、決してそういう訳ではなく、小出しにされていた様々な物語を構成する要素が1つに絡まり始めたという意味で、物語が旋回し出したように感じました。
ある時、何か明らかに秘密を抱えた免色という男(ひたすら丁寧な紳士的な男)が主人公に接近してきます。その彼の思惑が明らかになる所から物語が本格的に動き出します。
でも、ちょうどその辺りで1巻目が終わるので、まだ読んでいないですが2巻目もとても楽しみにしています。
物語全体は、暗い話ではないのですが、常にどこかどんよりとした、まるで曇りの日がずっと続いているような、そういう感じがしました。
そういう印象を持たせるような情景描写が所々で為されています。
恐らく作者が狙ってやっているのでしょう。
最終的にその感じが明るくなって終わるのか、より暗くなるのか、それともずっとどんよりとしたイメージのままで終わるのかはまだ分からないですが、『ノルウェイの森』のように最後までどんよりとしたまま終わるような気がします。
全ての謎が本当に明らかになるのでしょうか。
もう1つ、題名にもなっている騎士団長ですが、途中から本当に登場します。
当然、この物語は現代劇でファンタジーではないのですが、騎士団長が途中で登場した辺りから少しずつ主人公の世界がおかしくなってきている感じがします。
これが2巻目でどのような展開を迎えるのかが見所ですね。
まだまだ1巻目では謎が残されている『騎士団長殺し』ですが、普段純文学はあまり読まない私も熱中して読むことができたのですごくオススメです。
現代劇なのに、どこかおかしい、世界が少しずつ歪んでいくようなそういう感覚を味わうことができます。
私は村上春樹氏の作品を何作か読んだことはありますが、その中でも『ノルウェイの森』の次に熱中して読めました。
不思議な世界を存分に味わいたい方はぜひ一読してみると良いでしょう。
私もまた今から2巻目を読み始めます。