歴史と地理で世界情勢を解説〜『大国の掟』〜
現代の世界情勢は本当に複雑ですよね。
だからこそ、複雑な世界情勢を解説してくれるような本もたくさん出版されています。
いろんな人がその手の本を書いていますが、やはり佐藤優さんが第一人者だと思っています。
佐藤優さんは、元外交官でロシアに精通している人物であり、現在は広く国際情勢についての本を執筆されています。
佐藤さんの本には難しいものもありますが、この『大国の掟』は素人でも読めるように詳しく解説が為されています。
1.歴史×地理から読み解く
『大国の掟』では、アメリカ、イギリス、ドイツ、ロシア、中東、中国についての、それぞれの国を突き動かしている原理のようなものを解説しています。
その原理は「変わらないもの」に注目すると見えてきます。
つまり、歴史と地理です。
この二つの視点から、なぜ現代のような複雑な国際情勢になったのかについて説明が為されます。
2.世界情勢への関心の高まり
2016年は世界が大きく動いた年でした。
イギリスのEU離脱にアメリカではまさかのトランプ大統領就任と、驚愕の出来事が目白押しでしたね。
そんな中で、世界情勢への関心は高まっているものの、混迷し過ぎていてよく分からないというのが本音でしょう。
でも、世界の動きにはある程度法則があります。
世界史及び地理を学べば、それらがある程度自分でも分かるようになってきます。
例えば、アメリカでは国際社会に介入するのに積極的な時期と消極的な時期が定期的に交代しています。
例えば、ロシアはかつての南下政策を現代でも継承していますし、かつ、NATO加盟国との緩衝地帯を比較的重要視しています。
こういった、ある種の法則をこの本では学ぶことができます。
そして、その法則をもとに、実際に起きた出来事を解き明かしています。
3.宗教も大きく関わっている
この本では、歴史と地理の両方を掛け合わせて世界情勢を分析していますが、宗教というのも現代の世界を理解する上で大きな要素となっています。
特に、イスラム教の考え方やロシア正教の行動原理なども書かれていて、本当に多様な視点を得ることができます。
地政学という言葉が有名になり始めましたが、まさに地政学の考え方で現代の国際情勢を分析している本ですね。
外交のプロがどのような観点から国際情勢を見て、また、今後を予測しているのか、そういったことに興味がある人はぜひ読んでみることをお勧めします。