土方歳三が主人公の歴史小説、『黒龍の柩』
歴史ファンの中でも人気が高い土方歳三、彼を描いた小説が『黒龍の柩』です。
土方歳三は新選組のNo.2である副長というポジションで、隊の規則を徹底したため、鬼の副長として恐れられた人物です。
作者は北方謙三さん。
ハードボイルド小説を書くベテラン作家ですが、歴史小説もたくさん執筆しており、今回は北方流に新選組を描いたものです。
1.池田屋事件から始まる
物語は池田屋事件から始まります。
池田屋事件というのは、京都の池田屋に潜伏していた長州藩や土佐藩の尊皇攘夷派志士たちを、幕府側の新選組が襲撃した事件です。
つまり、冒頭からいきなり盛り上がります。
小説の最初から盛り上がるというのは良いものですね。
2.山南敬助との別れ
私は山南敬助のことはこの本を読むまで知りませんでした。
というより、新選組についての知識があまりありませんでした。
そんな私がこの本を読んで、山南敬助のファンになりました。
どういう男なのか。
新選組のNo.3である総長という役職に就いていながら、新選組を脱走しました。
隊規では脱走は死罪であったため、土方は沖田総司を追っ手として差し向け、山南を捕らえます。
と、事実のみを書いても面白くはないのですが、元仲間ですから当然そこに葛藤がいろいろとある訳です。
歴史小説の良い所は、そういう葛藤を描ける所だと私は思っています。
山南敬助は描かれ方によってはマイナスな感じで描かれることもありますが、この『黒龍の柩』ではとても魅力的な人物として描かれています。
3.土方歳三がかっこいい
新選組のNo.2で鬼の副長として恐れられた土方歳三はクールで聡明な人物として描かれています。
まさに「漢(おとこ)」という感じですね。
作者の北方謙三さんは「漢」を描くのがとても上手く惹きつけられてしまうので、土方歳三ファンは必読の小説だと思います。
また、幕末には魅力的な人物が他にもたくさん登場します。
この時代に活躍したかっこいい偉人たちの想いや息遣いが伝わってくる小説です。
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