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『活版印刷 三日月堂』が面白い!!〜落ち着いた気分にさせてくれる小説〜

最近よく見かける表紙が素敵な小説に『活版印刷  三日月堂』というものがあります。

 

私は週に3回ぐらい本屋さんに行くのですが、あまりによく見るのでついに買ってしまいました。

 

ちょうどその日は仕事上の人間関係で少し腹が立っていたのですが、この本を読んでいるうちに心も静まってきましたので、穏やかな気持ちになれるオススメの小説です。

 

1.あらすじ

 

川越にある活版印刷所の三日月堂が営業を再開しました。

 

そこの店主はまだ若い女性の弓子さん。

 

そして、三日月堂を訪れる人は過去にちょっとしたトラウマを抱えていたりするのですが、弓子さんとの会話を通してそのトラウマが解きほぐされていくというストーリーです。

 

連作短編でひと続きの物語になっているという感じです。

 

2.活版印刷をテーマにこれだけ書けるのがすごい

 

作中、随所に活版印刷の魅力が語られます。

 

そして、デジタルではないからこその温もりがこの本のテーマになっている気がします。

 

人と人とのつながり、家族や友人との関係、そういう心温まるストーリーを支える部分としての弓子さんと活版印刷の存在があります。

 

3.描写が美しい

 

優しくて温かみのある描写が良いですね。

 

口汚い言葉は一切出てこない小説です。

 

とにかくきれいな物語です。

 

安心して他の人にも勧められます。

 

4.穏やかな気持ちになれる

 

読書にはストレス解消効果もあるようなのですが、私はイマイチそれはピンときていませんでした。

 

今までは本を読んでいても頭の片隅に悩み事が残っていたりしたからです。

 

ところが、この本を読んで初めてモヤモヤしていた気持ちが晴れるという体験ができました。

 

穏やかな気持ちにさせてくれる、そういう素敵な小説です。

 

こういう小説にはなかなか巡り会うことができませんので、読書レビューサイトでこの本が一位を獲得しているというのも納得できます。

 

「泣ける!!」というようなお涙ちょうだいの話ではなく、「ホッとする」「落ち着ける」というような小説です。

 

高ぶった気持ちを抑えるのに丁度良いですね。

 

ただ、普通に面白いので、気持ちを落ち着けるつもりで寝る前に読んでも、結果的に読み続けてしまって寝られないなんてことがあるかもしれません。

 

二巻もあるようなので、そちらもまた読んでみたいと思います。