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哲学の入門にうってつけの本〜ゾンビから哲学を学ぶという斬新さがすごい〜

哲学の勉強ってなかなか難しいですよね。

 

私も大学生の時に哲学の授業をとっていましたが、ほとんど理解できなかったですから。

 

特に、カント以降ぐらいの近代ヨーロッパ哲学が苦手でした。

 

でも興味はあるので本をいろいろと探していた時にこの本と出会いました。

 

その本とは、『ゾンビの哲学に救われた僕は、クソッタレな世界をもう一度、生きることにした。』です。

 

 これがかなり面白かったので紹介します。

 

1.哲学ゾンビから学ぶ

 

主人公のヒロはフリーターです。

 

ひょんなことから古代ギリシャの時代から生きている哲学ゾンビ(通称:ゾンビ先生)と出会い、哲学の歴史を教わることになります。

 

この哲学ゾンビ、説明がすごく分かりやすいのです。

 

哲学的な命題を身近な喩えを用いて説明してくれます。

 

例えば、スーパーマリオであったり、akbであったり。

 

この本の途中で「哲学入門と謳いつつ難解な哲学解説書」を若干皮肉る場面が出てきます。

 

おそらく、作者はそういった本に疑問を抱きこの本を執筆しようと思ったのかなと、私は勝手に想像しています。

 

そして、自らハードルを上げていますが、きちんと本当に知識ゼロからでも分かりやすく読めるようになっています。

 

2.ストーリーもある

 

いちおう、毎回テーマとなる哲学的な命題とともに軽いストーリーもあります。

 

また、登場人物同士の掛け合いも面白いので、サクサクと読み進められます。

 

哲学者の中には「なぜそうなった!」とツッコミたくなるような人もいますが、そこを主人公のヒロがきちんとツッコンでくれているのも共感性が高いです。

 

3.扱っている哲学者

 

哲学者についてはごく基本的な人物を紹介しています。

 

ソクラテスプラトン、ベーコン、デカルト、カント、ニーチェなどですね。

 

なので、彼らの思想についてサクッと知りたい人にはオススメです。

 

特に、ニーチェの思想はストーリーの根幹にも関わっており、結果的にヒロの気持ちを変えることになります。

 

私はこれらの思想家についてはある程度知っていたので、もし第二弾が出るなら、もっと西洋近代哲学を掘り下げるか、日本哲学史に踏み込むかを期待しています。

 

4.ゾンビ先生の正体は?

 

作中でゾンビ先生の正体がほのめかされます。

 

というか、後書きには一応ほぼ答えが載っているのですが。

 

ネタバレになるのでここは伏せておきます。

 

別にゾンビ先生の正体が分かったからといってどうということもないのですが。

 

5.まとめ

 

哲学の入門書としてはこれ以上ないくらいに分かりやすいです。

 

またいずれ紹介しますが、私もけっこう哲学の入門書の類は読んできました。

 

この本は網羅性はそこまでないですが、哲学史の中でも超超有名人の思想をかなり噛み砕いて説明しているので、とても良いなと思いました。

 

と同時に、これだけ分かりやすく面白い説明ができる作者のさくら剛さんの本を他にも読んでみようと思いました。

 

(推定3000歳の)ゾンビの哲学に救われた僕(底辺)は、クソッタレな世界をもう一度、生きることにした。

(推定3000歳の)ゾンビの哲学に救われた僕(底辺)は、クソッタレな世界をもう一度、生きることにした。